年功でもいいんじゃない?
給与をどうやって決めよう?
私が、社員さんに点数をつけない人事制度を考え始めた2005年頃は、
「ノーレイティング」という人事制度もありませんでしたし、
人事制度の本やセミナーのすべてが、点数をつける人事制度でしたので、
自分で考えるしかありませんでした。
一番悩んだのが、「給与をどうやって決めるか?」です。
これには、本当に悩まされました。
なにしろ今まで、
「どうやって点数をつけるか」「どうやって点数を給与に結び付けるか」
を考えてきたわけですから、なかなかよいアイデアは思い浮かびませんでした。
「やっぱり点数をつけるしかないのかなぁー」とあきらめかけたこともありましたが、
心理学の研究結果からみても、
点数をつけることが人間にとってプラスだとは思えなかったので、
なんとか点数をつけない人事制度をカタチにしたいという思いでした。
年功でもいいんじゃない?
そして、思いついたのが、年功的に給与が上がっていく仕組みです。
その当時は、年功序列というのはダメな経営手法の代名詞のようになっていて、
私もそのように思っていました。
でも、よく考えてみると、年功的に給与が上がる仕組みも、
ある条件のもとでは合理性があるのです。
その条件は、社員さんが「給与に見合った成長を遂げる」ことです。
年功制が問題になるのは、給与に見合った成長がないときですので、
点数をつけない人事制度で、仕事に集中できる環境ができたら、
給与が年功的に上がったとしても、生産性が高まりますから、
逆に人件費率は下がるのではないかと考えました。
もう一つ、年功でもよいと考えた理由は、
日本は春闘の影響で、中小企業でも毎年、定期昇給をしている会社が多く、
結局は給与制度を年功的に運用していることもありました。
それらの理由で、2010年に生きがいラボを設立した当初は、
人事評価で点数をつけない代わりに、
給与は年功的に上がっていく仕組みを設計していたのですが、
悪くはありませんでしたが、私としては物足りない感じでした。
その物足りなさについては、次回に書きます。