人事制度の未来を語る

日本の未来を明るくするために、人事制度コンサルタントである私に何ができるかを探求したいと思います。

ノーレイティングをわかりやすく解説します

ノーレイティングという人事制度は、人事業界では一定の認知があると思いますが、人事以外の方々にはまだまだ浸透していないと思います。
人事以外の方でもイメージが湧くように、分かりやすく「ノーレイティング」について解説していこうと思います。

【ノーレイティングとは?をわかりやすく解説します】
  
私はノーレイティングという人事制度を10年以上実践してきましたので、このブログでも当たり前のように「ノーレイティング」という言葉を使ってしまっていますが、
 
久しぶりにしっかりと「ノーレイティングとは?」というテーマで記事を書きたいと思います。
 
  
■ノーレイティングとは?
 
ノーレイティングは、英語で「No Rating」と表記する通り、Rating(レイティング)をしない人事制度ということです。
 
Rating(レイティング)という単語はさまざまな場面で使われていますが、人事制度の世界では「人事評価」とか「ランクづけ」という意味で使われます。
 
人事制度の構造を大まかにいうと、
 
・社員さんをいくつかのカテゴリーに分ける「等級制度」
・それぞれの等級ごと評価基準で社員さんに点数をつける「評価制度」
・人事評価に連動して処遇(給与)を決定する「給与制度」
 
の3つに分かれます。
 
ここに人材育成やタレントマネジメントの制度が乗ってくるのですが、基幹的な構造はこの3つです。
 
人事制度におけるレイティングとは、人事評価によって点数をつけたり、その点数に応じて社員さんをランクづけしたりすることを意味します。
 
ノーレイティングは、レイティングを「ノー」で打ち消しているように、レイティングを「しない」という人事制度です。
 
 
■ノーカーブとは?
 
人事制度のノーレイティングをネットで検索していると、いろいろな情報が出てきます。
 
そのなかで「ノーカーブ」や「ノーキャリブレーション(ノーカリブレーション)」という言葉もあります。
 
この2つの言葉も「ノー」で打ち消している通り、従来の人事制度にあるものを「しない」ということです。
 
従来の人事制度では、人事評価の点数によって社員さんをランクづけします。
 
たとえば人事評価の点数の高い順に、社員さんの評価をS評価・A評価・B評価・C評価・D評価の5段階に分けるようなイメージです。
 
そして、この5つのランクへの振り分けが「正規分布」になるように調整をすることがあります。
 
正規分布に調整する」というと難しい感じがしますが、簡単にいうと、たとえば人事評価の点数によって社員さんをランクづけするときに、S評価とD評価は各10%、A評価とC評価が各20%、B評価が40%、になるような調整のことです。
 
「ノーカーブ」とは、この正規分布への調整を「しない」ことを指します。
 
つまり、人事評価者が部下の評価を行って、その結果が正規分布になっていなかったとしても、そこで調整を行わないということです。
 
正規分布に調整すると、同じ人事評価結果の社員さんでも、ある人はA評価に、ある人はB評価になるという現象が起きます。
 
ノーカーブを導入すると、そういうおかしな現象が起きないわけです。
 
 
■ノーキャリブレーションとは?
 
「ノーキャリブレーション」も、キャリブレーションというものを「ノー」で打ち消していますので、キャリブレーションを「しない」ということです。
 
キャリブレーション(カリブレーション)」も、調整の一種になります。
 
人事評価は、ほとんどの場合は管理職さんが行います。
 
管理職さんも人間ですから、どれだけ気をつけて評価をしても、人事評価の結果に偏りが出ることがあります。
 
部下に厳しい管理職さんでしたら評価も辛くなる傾向がありますし、優しい管理職さんは甘くなる傾向があります。
 
人事評価が厳しい管理職さんの部署にいる社員さんは人事評価が低くなり、甘い管理職さんの部署にいる社員さんが人事評価が高くなるのは、望ましい状態ではありません。
 
そこで、部署間の調整をする必要性が出てきます。
 
この調整が「キャリブレーション」です。
 
「ノーキャリブレーション」とは、この部署間の調整を「しない」ということを指します。
 
一般的に「ノーレイティング」というと、「ノーカーブ」と「ノーキャリブレーション」を含んで使われていることが多いように思います。
 
今回は言葉の意味を説明するだけで終わってしまいましたが、次回はノーレイティングという人事制度のイメージが湧くように、分かりやすく解説したいと思います。